XeonでWindows7の静音PCを作ってみた

いろいろ試行錯誤してやっとのことでメインPCの環境移行が終わった。構成の参考になるかもというのと自分の試行錯誤の記録としてエントリとして残しておこうと思う。
といってもハイエンド/高性能バリバリなXeonではなくL3426なので特別難しいというわけでもないんですけど。。。

コンセプトとか

用途
目標

折角の自作なので、自作じゃないと手に入らない構成ということで以下のような感じ。

  • Windows7 Enterprise 64bit
  • CPUはXeon
  • 電源のACアダプタ化で静音&省電力
  • 可能な限り省スペースでいらないものは搭載しない
  • 拡張スロットは以下最低限必須
    • PCI-Ex16
    • PCI-Ex1
    • PCIx1
  • データはすべてiSCSIストレージの別鯖へ格納
    • OpenSolarisでこちらも自作。そのうち別エントリで紹介予定。

ちなみに旧構成はCore2 Quad Q9650(3.0GHz)でした。

具体的に

パーツ構成

パーツ構成はこんな感じです。
画像はめんどくさいので撮ってません。パーツ画像が観たい方はリンク先参照で。。。

パーツ名 参考単価
OS Windows7 Enterprise 64bit \15,000ぐらい
CPU intel Xeon L3426 \29,000ぐらい
マザー Gigabyte GA-P55M-UD4 \9,000ぐらい
ケース SilverStone SST-SG03B-F \11,000ぐらい
SSD PQI X25-M(intel OEM品) \18,800
グラボ Sapphire RADEON HD5450 \5,380
NIC intel Gigabit CT Desktop Adapter EXPI9301CT \3,800ぐらい
電源 picoPSU-150-XT \15,970
CPUクーラー SCYTHE MUGEN∞2(無限2) Rev.B \3,570
メモリ Corsair CM3X2G1600C9 \14,000
ケースファン SilverStone SST-AP121 \1,880
CPUファン Coolink SWiF2-120P \1,290
合計   \130,000弱

消費電力(ワットチェッカー読み、HT:有効)

  • アイドル時:42W
  • 最大負荷時(Prime95):102W

CPU温度(CoreTemp読み)

  • アイドル時:32度ぐらい
  • 最大負荷時(Prime95):55度ぐらい

Windows7 エクスペリエンスインデックス

ゲームはしないからグラフィックスコアは4超えてたら問題ないでしょう。あとはすべて7超えてますね。ちなみに2.3GHzまでOCしたらCPUのスコアは7.3になりました。

CPUとマザー

CPUは最初からXeon L3426一択。こいつは定格で1.86GHz動作なんですが、TurboBoostが効くと最大3.20GHzまで上昇(1コア)。この上がり幅が最大の魅力です。用途としてはネットと動画視聴がメインで重たい処理はたまの動画編集と動画エンコなので問題なし。4コアにフルで負荷がかかる場合はブーストしないので、そこがメインの用途だと物足りないかもしれません。

Xeon L3426は一般的なLGA1156のマザーで動作するので選択肢は多かったんですが、マザーはGigabyteのリビジョン商法による切り替わりのタイミングで在庫処分になっていたRev.1.0をチョイス。15,000円ぐらいするのが9,000円弱で手に入ったのでこれにしました。ASRockのP55、H55マザーだと正式にXeonサポート謳ってたりするんですが(流石変態マザーベンダーと言われるだけはある)、一般的には動作確認は取れててもメーカーの正式サポート対象にはならないので注意が必要です。
あとH55、H57マザーでも動作するみたいですがCPUにグラフィック機能がないのでグラボが必要です。念のため。

ケースとCPUクーラーとファン

ケースはMicro-ATXでなるべく省スペースということでSST-SG03B-Fをチョイス。外寸は(W)200×(H)360×(D)312mm。Micro-ATXケースとしては定番ぽくなってるようで、あれこれ試行錯誤する人には人気が高いようです。
実は今回一番悩みまくったのがケース選びで、他にもスリムケースなども候補として考えたんですが排熱のことを考えると省スペースを狙いすぎるよりはある程度エアフローに余裕のある構成にした方が静音化はしやすいだろうと結論づけました。当たり前なんですけどね。どのあたりに妥協点を持ってくるかでアキバでケースを見て回り、ネットを徘徊した挙句の結論がこのケースでした。
このケースのポイントは奥行きの短さと幅の厚みです。言ってしまえばずんぐりむっくりな感じなんですがこの幅がポイントです。通常のATX電源を搭載する場合マザーの手前にくるので、CPUクーラーの高さがかなり制限されます(80mmぐらい)。ところが電源をpicoPSU化するとこの電源スペースが完全に空くことになるので160mmぐらいのCPUクーラーが装着できるようになります。これは静音化を考える上で非常に重要です。放熱部分を大きく取れればそれだけCPUファンの回転数を抑えることが可能になるわけです。
今回は無限2が安く手に入ったのでこれにしました。冷やすことにこだわるならハイエンドのCPUクーラーを選択することになりますが、今回はTDP45WのCPUなのでこれで十分です。
さらにこのケースは12cmケースファンを前面に2個搭載できます。標準で2個ついてます。ただ今回はケースファンをSST-AP121に換装しました。このファンは徹甲弾ファンと言われ、指向性を持ったエアフローが可能になります。風が拡散せずに直進するので、風量を抑えめにしても今回の構成には十分なエアフローが得られました。販売開始時の記事で存在は知ってはいたんですが疑ってました。でも実際にアキバのソフマップのデモを見て、本当に風が直進していたのでびっくり。即決しました。
今回の構成ではCPUファンだけで上段部のエアフローが十分なので、ケースファンはSST-AP121を下段にのみ装着して上段は取り外しました。

ただこのケースファンは12Vで通常動作させると結構うるさいです。今回は静音重視で5Vで動作させています。これでも今回の構成では十分なエアフローをつくれます。ファン自体は静音設計になっているわけではないのでこの点は注意です。

SSD

静音かつ低消費電力で考えるならSSDしかないわけです。じゃあ800GB近いデータをどうするのかということになるわけですが、これは以前のエントリでもちょろっと触れた通り別途OpenSolarisiSCSIサーバへ格納しました。1000BASE-Tなネットワークであれば十分な速度が出ます。ストレージ側はZFSで構成してあるので

となります。
このあたりは別エントリでそのうち紹介します。

というわけで、メインPC本体はシステム領域のみでOKなので80GBのSSDで十分です。intelコントローラは性能劣化も激しいですが、Windowsで使用する限りはtrimのツールもあります。なので予備領域をあえて作る必要もないのでフルに使えます。
また今回はPQIOEM品を特価で入手しました。PQIと言っても中身はそのままintel X25-Mなのでお買い得です。当然trimにも対応してます。
発熱も問題ないので、自分はSSD光学ドライブの後ろのスペースのPCIスロットスペースにマウントしてあります。ここが今回のケースの面白い部分で、背面上部にPCIスロットのスペースがあります。ここに2.5インチディスクマウンタを使ってSSDを固定することで光学ドライブと配線を1本化することができました。配線的にもスッキリです。

グラボ

RADEON 5450のファンレスモデルをチョイス。ゲームしないのでローエンドのもので問題ありませんでした。ローエンドでも出力はD-sub、DVI、HDMIの3つがありDirectX11にも対応してます。Flash Player10.1からハードウェア再生支援に対応したのでその部分でどうかと思ったんですが問題ありませんでした。
ファンレスモデルなので排熱が心配でしたが、先述したケースファンでこの部分は解消出来ていると思います。ケースファン下段の風はちょうど拡張スロット部分に当たるようになっています。

CPUファン

静音化を目指す上で静音ファンはかかせません。クーラーにはファンが付属していましたが当然交換。今回選んだのはPWMのファンだったんですが、結論としてはPWMは不要でした。可変回転数にしなくても800RPMで十分な冷却が得られました。100%フルロードしてもcoretempで60度ぐらいなので問題ないでしょう。
このファンは最大で1700RPMぐらいまで回転数があがりますが、MAXで回転すると結構うるさく静音とはとても言えません。ただ最低速で回転させてるうちは非常に静かです。

電源

picoPSUでACアダプタ化しました。これが今回の一番のポイントです。先述した通り、これによりCPUクーラーを最大化→静音化が可能になります。また電源もファンレスになるのでこの部分でも有利ですし、熱源がPC内からなくなり冷却面でも有利になります。ATX電源部分はATX電源用ブランクパネルを装着してファン部分にメッシュを付けて通気性も確保してあります(参考記事)。
このpicoPSUは今回150WACアダプタで使用しています。最大変換効率95%をうたっています。ACアダプタは基本的に変換効率が高いんですが、これはアイドル時でも90%超えなので省電力です。通常のATX電源が80 PLUS GOLDで90%なので、構成的に消費電力が150W以下におさまるのならATX電源よりACアダプタがおすすめです。

まとめ

メイン環境を移行して1週間以上経過しましたが、すこぶる順調です。デスクトップで自分のほぼ真横に置いていますが非常に静かです。耳を近づけるとさすがにファンの音はしますが、50cmも離れればほとんど音は聞こえません。

システムもSSDで非常に快適です。データドライブのiSCSIサーバも静音&省電力にしているので今までより静かになりました。iSCSIのストレージサーバは常時起動させっぱなしですが就寝時も音は聞こえないので問題ありません。現在のところ稼働させてませんが*1、PT1による2チャンネル同時録画&同時再生も問題ありません。

微妙にオーバークロックとかも試しましたが最大負荷165Wぐらいで落ちました。2.4GHZぐらいまでなら設定詰めればOCも出来るかもしれません。
また今回別で検討していたアーキサイトのI-T Power ACアダプターを使えばグラボのアップグレードとOCも可能だと思います。このACアダプタセットは2個接続することで最大300Wまでパワーアップできます。最初これで検討していて購入もしたんですがメインPCでの使用は断念しました。*2
参考までにですが、このアダプタをこのケースで使用する場合は電源部分にコンバータを設置する必要があるのでCPUクーラーを選びます。おすすめは鎌アングルです。ちょうど出っ張り部分を回避して装着できるのでぴったり収まると思います。

64bit環境も今のところ問題ありません。アプリもすべて互換モードで動作しますし、常用していたものはすべて動いています。乗換でここが一番の懸念点だったんですが杞憂でした。

そのうちストレージの方もまとめ書きます。

*1:64bit版で動かす場合はドライバの署名の問題でテストモードにしないといけないようです。これによりBD再生に支障が出る場合があるらしいのでPT1鯖は別で用意することにしました

*2:iSCSIストレージ側で稼働中です